どこでも人気者だね……。


うれしいんやら、複雑なんやら……。






「……疲れたぁ」


「陽……結局お昼食べなかったじゃない」


「ん? 食うよ、晩飯に」


「もう腐ってる!」


「あれー」





少し怒り気味に言ったあたしのカバンの中を、陽は素早くのぞいて……


棒読みで言葉を発しながら……
いたずらに笑った。






「保冷剤ってなんだー?」


「そ……それは……」


「さんきゅ。なんか、ちいせぇことだけど……」






小さいこと? なにが?

陽は髪をクシャっと触り、かわいく言う。





「小さいことでも、俺すげぇ幸せなんだ」





そんな陽の言葉にうれしくなる。
そして、あたしはクスッと笑うと……






「笑ったな?」


「うれしい……。陽にそうやって言ってもらえて」


「俺は……幸せすぎて怖いよ」





微笑みながら言った。


あたしも……同じ。
幸せすぎてとても怖い。

こんな幸せがいつか、壊れてしまうんじゃないかって。


なくなってしまうんじゃないかって。



大丈夫だよね? なくなったりしないよね?

消えたりしないよね……?


そう、思ってた。