優は少し赤い。


そんな優がかわいく見えて、思わずよしよしと頭をなでてしまった。





「なんだよ!」


「だって、優がかわいく見えたから! じゃあ、あたし観覧席行くね!」





優に背を向けようとすると、優があたしの腕を引っ張った。





「どうしたの?」


「陽から言われてる! 絢を座らせる席!」





そして、引っ張られるまま来たのは……
控えの選手が座る席。


……いいのかな?






「なにボーっとしてんだよ」


「陽!?」


「来るの遅かったから迷ってると思って」


「あの、あたしここに座っていいの?」


「大丈夫だろ。どう見てもマネージャーだ」






そう言って、あたしの肩に陽のジャージがかけられた。

陽の……爽やかな香りがする。







「陽……ユニホーム……」


「あ? これ、試合用」


「似合ってる……」





その言葉に陽は笑っていう。





「じゃあ、やってくるわ」





クシャっとあたしのあたまをなでると、
すぐに選手集合の笛が鳴った。