空の君へ〜命をみつめた真実のラブストーリー〜



「陽 お疲れ~」


「お疲れ様です。じゃあ、お先に失礼します」


「おう! 試合、休むなよ! 桜樹にも言っとけ!」


「今回は行きます!優と。好きな女の子観にくるんで……」





制服に着替えた陽はカバンを持って、あたしと一緒に体育館を出た。


も……。
陽はすぐに変なこと言う。

本当に、自分に自信があるんだね。





「絢、これから時間ある?」


「うん」


「俺の好きな場所に連れってってやるよ」


「本当? うれしい」


「初めて人に教える」


「陽?」


「んじゃ、行くか!」





陽は校門を出るなり、なぜか少し離れて歩いた。
いつもはもっと近いのに……。






「絢、花は好き?」


「好きだよ。陽は?」


「俺も」






ニコッと笑った陽。

あたしたちはそのあと、しばらく黙ったまま歩いた。


気づくと陸橋の近くの河原に来ていた。
川は小さく優しく流れ、そよ風がさらさらと吹いている。

クローバーの絨毯……。






「あっち、見てみ」


「どこ?」


「黄色いほう」


「……っ…」