今日は体育で長距離走がある。
夏真っ盛りのこの時期に、長距離は慣れていないとキツイ。
体育では各自、自由なペースで授業終了5分前に5kmを走りきることになっている。
あたしと由美は着替えて運動場に向かった。
陸上はできないけど、体育くらいはいいと医師に言われている。だから、体育での陸上種目は楽しみだ。
「はぁ……長距離は疲れる!」
「あたしは楽しみ!」
「あ! 絢は陸上で県大会いったんだっけ?」
「うん……。地方の大会は出られなかったけど……」
家には表彰状、トロフィーが飾ってある。
全部、陸上でとったもの。
……もう一度、やりたいな……。
「あたし……もう一度陸上やりたかったな……」
「……やったら?」
「でも、主治医にダメって言われたから」
「絢、絢が本当にやりたいなら頑張るべきだよ!主治医が何て言おうと、頑張ればできるって!」
「ありがとう……」
あたしに優しく笑いかけてくれた由美。
もう一度、やりたい。
でも、1年以上のブランクを埋めるのはかなり大変。
そして、ケガのことも頭をよぎる……。
そう思って走り出していると……。
「絢!」
授業中なのに、校舎の2階から優が話しかけてきた。
「優!」
あたしは立ち止まって答える。
「頑張ってんな!」
「体力落ちちゃって」
「陽がな」

