それから、由美は何度かあたしになにかを話そうとしていた。
けれど……
やっぱりためらって話してくれることはなく、放課後になった。
今日は陽が部活に行くから、優と帰る約束をしている。
最近、陽と一緒に帰っていたから、
優と話すのは学校の休み時間くらいになっていた。
「絢、帰ろーぜ!」
帰りのHRが終わった少し後。
優は1組の教室まであたしを迎えに来た。
教室で由美と話していたあたしは由美に「また明日」とあいさつを交わす。
「またね明日、絢!」
「うん! ばいばい」
そして、自分のカバンを持とうとしたとき
「行くぞ!」
「優! カバンくらい自分で持つよ!」
「いいよ。カバン重いみたいだし。お前、もともと歩くの遅せーのに重いの持ってたら余計遅くなんだろ」
優はそう言って、あたしのカバンをさっさと奪った。
「もう、優ったら……」

