陽はお弁当持ってないの……?
いつもだれかからもらってるのに。
「陽、お弁当は……?」
「あ? あぁ、断った!」
「なんで? だったら陽、食べるもの……」
「ないな。じゃー……絢のちょーだい」
陽はいたずらっぽく、子どものような顔で笑う。
この笑顔は……くせもの、強者だ。
無邪気に笑うこの顔でお願いされると断れない。
……反則すぎるよ……。
「絢のを半分な」
「……陽ずるい」
「なにが?」
「別に」
「なんだよ」
あたしが背を向けて昼食をとっていると、目の前にひょこっと陽の水色のクマが顔を出した。
「お姫さま? ご機嫌直してください?」
「陽のばーか!」
……あたしダメだね。
構ってほしくてこんな態度とっちゃうんだ。
すると陽は、クマを引っ込めて今度はあたしの顔をのぞき込みながら言った。
「絢? ごめん。だから半分ちょーだい」
「どうぞ」

