高校生活最後の日を迎える

陽が亡くなってもうすぐ1年。


あたしは前を向き未来を歩み続けている。





「時間は待ってくれないね」


「そうだね。陽が亡くなってもうすぐ1年だもん」


「陽くんに届く最高の答辞にしてね」





由美は美容の専門学校に、
あたしと優は同じ大学に進学する

奈菜は3年の終わりに父親の仕事の都合で福岡に行くことになった。






「答辞 卒業生代表 和泉絢」


「はい」





あたしは壇上に上がり、一度深く呼吸をした。






「答辞。春の暖かな日差しが体全体に感じられ、校庭の桜の芽もふくらむ季節となりました。本日このよき日、私たち349名は自らの夢をつかむため、それぞれの道へと旅立ちます」






……陽、元気ですか?






「私の心の中には、数えきれないくらいたくさんの思い出が昨日のことのように蘇ってきます」