お見舞いに通っていて、つらいと思うこと。


それは、陽の元気が……陽の体力が……
日に日に落ちていっていること。

それに、陽の体調が優れず面会謝絶のとき。


心配でたまらなくなる



今日の陽は……面会こそできるものの、体がきつそう






「陽、ご飯食べて」


「食欲ない……」


「少しでも食べないと……っ」


「…そうだな……食わせて?」





ごはんを口に運ぶと、陽は口を閉じて首を横に振る。
あたしの首を傾げた姿に、陽はいたずらっぽく笑う。






「口移し」


「えぇ!?」


「なーんてな。 そんなこと言ってられる余裕もねぇよ」






このひと言が突き刺さる。
そんなに元気がないなんて思いもしなかった。






「出かける?」


「いいの?」


「外出許可もらうよ」






期待をしてしまう。
でも、陽は大丈夫なのかな?



あたしの不安が顔に出ていたのか、陽が触れるだけのキスをくれた。






「キスする元気はあるから大丈夫」


「それくらい元気なら大丈夫」


「お姫様? 僕、病人ですよ? 優しくしてくださいよ」






キャラが崩壊してる。

クスクス笑うあたしを、陽は優しい笑顔で見てくれている。

そして
あたしを手招きすると……こう言った。






「外出許可出たら俺んちこいよ」


「なんで?」


「姉貴たちいないから、新婚生活しよーか」






新婚生活!?
その言葉がくすぐったくて、耳をこする。