【陽が元気になりますように 和泉絢】


今度はあたしが願い、祈る
あたしたちふたりの未来のために。






「あいつはそんなにやわな奴じゃねぇよ」


「……優?」


「ここにいると思った。おばさんが『家に連絡したけど出ないからまだ帰ってないみたい』って……。絢がなにするか考えてみたら、ここに来てた」






優はやっぱり支えてくれる。
陽は大丈夫、大丈夫…………。

自分に呪文のように言い聞かせる。
そうでもしないと耐えられない。





「別れてやった条件、忘れんなよ」


「……ごめ……なさい……あたし、バカだから…ひとつのことにしか頭回らなくて……」


「本当にそうだよな 今日はそばにいてやろうか?」


「ううん。大丈夫……。ありがとう」





強くなるって約束したんだ。
大人になるって約束したんだ。

はやく大人になって陽の病気を治すから。





「はやく寝て、心を落ち着かせろ」


「そうするね」





あたしが泣いたらダメだ。
あたしが決めたこと。


陽を支えるって………。





「ブレてんじゃねーよ絢! お前が一番にに信じろよ!」


「……ゆう…」


「陽のチカラを! そのためにお前がいんだろ!」






優の言うとおり。
あたしができることは



陽を……
陽のチカラを信じて支えること






「ありがとう、優っ」


「陽は犬並みの回復力だから心配ねーよ。じゃあな」






家の前で優は元気をくれた。

やっぱり海みたいな人だね。