「一ノ瀬 陽は和泉 絢のものだって」





それだけ言って、陽はあたしにボールを渡した。
あたしのうしろに立ってシュートホームを教えてくれる。





「背筋はまっすぐ」





そう言って陽はスッとあたしの背筋に人差し指を這わせた。
いやらしい手つき……。





「陽のエッチ……」


「ん? なにが? ちゃんと集中しろよ」






こんな状態で集中できるわけないでしょ!
心でひとりつっこむあたし。





「へそを重心に意識して」


「……っ」


「膝と足首をつかえ」





言ってることは正しそうだけど……
おへそに触る必要はないし、足に触る必要もない……!

セクハラ講師。

でも、そんなセクハラな陽の指導のおかげで、シュートは決まるようになった。
そして、授業当日は―――――…





「絢すごーい」


「より戻した陽くんに、特訓してもらったの?」


「セクハラ講師だったけどね」


「なにされたの?」





由美と奈菜の目が輝いている

そんな期待されても……。
でも、ほんとに……あんな教え方するなんて……。


放課後

今日は由美と奈菜と優と一緒にお見舞いに行く。
て、言うか……

昨日、無断外泊しちゃって、陽は大丈夫だったかな?