体育館でみんなは陽がきたことに驚いている。

そして、いつものように人に囲まれた。


いつも陽が見ていた景色はこんな感じだったんだ……。

あたしも陽と一緒に囲まれ、体験した。
人に囲まれるということを。






「お前痩せたなー」


「ダイエット頑張ってたんだよ」






女子からの目は……?

あたしと別れてから、相当女の子遊びが激しかったみたいだし。

そう心配して女の子たちに目を向けると……
目がハートになっているように見えた。



あー……
これも相変わらずですか……。

少し妬ける……。






「お前、和泉とより戻したんだ?」
「どっちから?」
「やっぱ和泉だけって感じかー?」


「質問は1個ずつにしろよ」


「陽!」


「彼女が妬くからおしまい ボール1個貸して」





ボールを借りると、陽は一度あたしの頭をなで、「見てな」、それだけ言って3ポイントのラインから、1本シュートを決めた






「か……かっこいい……」


「ベタ惚れした?」


「もともとベタ惚れですー」






時間が戻っていく……。
魔法にかかっていく。

付き合い始めたばかりの頃みたいに……。



ボーっとしていると、陽があたしにかすめるようにキスをした。

みんながいるのに……!






「みんなが見てるのにっ」


「みんなって、だれだよ?」


「学校の……っ」


「見てない ……覚えておいてほしいんだ」





聞き取りにくいくらい小さな声で、陽は言った。