「っ……泣かすなよ……」


「陽が……っ勝手に……泣いたんでしょっ……」





陽の涙をみた。

強くて、優しくて、あたたかい


悲しみの涙ばかりじゃない。
うれしくて、あたたかい涙もある……。





「絢」


「なに?」


「……そばにいろ」





あたしはこの瞬間を今でも鮮明に覚えている。
忘れることはない……。

ガラス玉のように透けた瞳に、きれいな雫が流れた……その瞬間を





「くそっ……お前むかつくな……」






そっと不意を突いて陽の唇を塞いだ。
触れるだけのキス……。

久しぶりに感じた陽の体温。





「それでも好き。離れたくねぇよ」


「離れないよ……。あたしはずっとそばにいる」






それは
17歳の秋から冬に変わったばかりの季節でした

陽の涙を見て

陽の体温を感じた。



離れない

離れたくない


ずっと近くにいる。
そう誓いなおした季節でした……。