それからのあたしたちは、
陽のことを特別に話題にすることもなく
由美の様子が変になることもしばらくなくなっていた。
時間が経つのは早いもので……今は夏、真っ盛り。
「毎日暑いね」
「そうだね」
「ねぇ! 絢は好きな人いないの?」
「あたし!? あたしは……」
由美のいきなりな質問に焦ってしまう。
“好きな人”?
頭をよぎったのは……陽の笑顔。
連絡を取るようになってからは、陽はどんなに人に囲まれていても
……あたしと帰るようになった。
「もしかして、陽くん?」
「えっ?」
「だって、絢は普通の男子のときと、陽くんのとき、なにか違うから」
「……わかんない」
「陽くんのこと好きか?」
「うん……。陽といると安心する。心が休まって……思ってること全部でちゃう」
由美に思っていることを話した。
あたしが話すことを“うん”と静かに頷きながら聞いてくれる。
由美はどう思っているのかな?