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To.陽

今日分(笑)

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そこに付けられていたのは

あたしの写メ
毎日、陽に送っていたことをあたしは初めて知った。






「怒るなよ? 怒る相手は俺じゃなくて陽だから」






いたずらっぽく微笑みながら、それ以上あたしになにも言うことはなかった。


太陽の光が優の姿をきれいに縁どる

優はあたしに背を向けて手を振った。
大きな背中は屋上を去っていく


その背中はとても寂しそうだった。





「かっこよすぎだよ……」





穏やかでだれよりも優しくて……ありがとう。
優……。

一緒に海に行ったことが想い出に変わっていく


穏やかな波を見ながらふたりで誓い合ったことも。




『俺はずっと絢を支える』


『あたしは強くなる。大人になるよ』




優しくて、大きくて、あたしが間違った方向に行きそうになると


いつだって引き戻してくれた―――…。


穏やかで、ときには強く、そんな人……。






「陽……会いたいよ……」





もしかしたら10年後……
いや、すぐにこの選択をしたことを後悔するかもしれない。


でも……

選択しなくて後悔するよりずっといい。






「絢……」


「奈菜」


「どうして……?」





一難去って、また一難。