屋上で座っていたあたしと優


優はあたしの向かいに座りなおして、両手であたしの両手を包み込んだ。

校庭の野球部の掛け声や、サッカー部のボールを蹴る音が響き渡る。






「いる。俺はお前のそばにいる……」


「……優もいなくなっちゃたら、あたしは……」


「いなくなるわけねぇだろ」






あたしの手を包み込む手に、力がこもった。

優の手はいつだってあたたかくて
すべてを包み込んでくれて

優しい―――――……





「約束する。俺は、お前をひとりにしねぇ」





そうあたしに告げた。
しばらく目を見つめていると、優はあたしを抱きしめた。

やっぱり
すごくあたたかい……。






「そーいえば、もうすぐテストじゃね?」


「あっ! あたし、忘れてた……」


「テスト勉強でもする?」


「……うん」







あたしの苦手科目は
数学、化学、古文、英語

ほぼ全般……。


でも、得意なのはある。
現文、生物

だけは満点に近い……。






「あたし、数学なんて全然ダメ……」


「俺が教えてやる まぁ、絢が理解できればだけど」


「ひどくない? 現文はあたしのができるもん」


「ハハッ そうだな」





帰り、優はあたしの家に寄った。

お母さんは小さい頃から優のことを知ってるから。
特になにも言わなかった。