お母さんが昔言っていた。
『手の冷たい人は、心がとってもあったかいのよ』
陽の心はスゴく、あたたかいんだね……。
「陽」
「ん?」
「本当にありがと……。なんか、元気でた!」
「ん。ならよかった。颯汰には俺から適当になんか言っとくからさ」
「うん」
陽が1組から離れようとしたとき、すぐに男の子たちが陽に声をかけてきた。
「陽! 行くぞ」
「ああ!」
「女子がのぞきたがってるから男子で制止したんだぞ!」
「さんきゅ」
3組の男の子たちが陽を囲もうとする女の子を制止していた。
そのおかげで……
陽とも普通に話すことができた。
嵐が過ぎたみたい……。
「陽くんは嵐みたいだよね。……むかしから変わらない」
「そうなの?」
「あ……うん。人を突き放すのも、嵐みたいなの」
呟くように、独り言のように言った由美。
「……由美?」
「ごめん!なんでもないよ!」
陽の話しをしたとき由美の顔は曇っていた。
決して、陽のことを嫌いってかんじじゃない。
なんか……寂しそうに陽のことを話した。
過去になにかあったのかな?
「由美って……陽のこと……好きだったの?」
「ちっ、違うよ!」
「由美?」
「ほっ、本当に違うからね!」
由美は焦ったようにそういって席についた。
……あたしじゃあ、相談にも乗れないのかな……
あたしの心は、寂しさで埋め尽くされていく。
由美は、食堂で囲まれている人が陽だって知っていた。
カラオケでは普通に話していた。
避けているってわけではなさそうだけど……、ときどき様子が少し変になるみたい。
……どうしてだろう?