奈菜が真剣な顔をしている。
あたしたちは向き合って奈菜を見つめた。





「あたし、桜樹くんに告白しようと思う」


「優に?」
「桜樹に?」


「フラれるってわかってるけどもう、全部伝えたい」


「でも奈菜、桜樹……明日きっと……」





由美は続きを言いよどんだ。

奈菜はうなずいて笑った。





「わかってる。それでも、桜樹くんに少しでも女の子として見てもらいたい」


「奈菜……」


「明日、美ら海水族館の大水槽の前で告白する」






奈菜の瞳や決意は揺らいでいなかった。

頑張ってほしい

そう、心から願った。
だから、なにも言わなくなった由美とあたし。


奈菜は照れてからお手洗いに行くといった。


あとに残された由美とあたし。
最初に口を開いたのは由美だった。






「奈菜も桜樹も頑張るよね」


「どうして?」


「でた……絢って本当に鈍感……。桜樹は絢が好きで奈菜は桜樹が好き」


「優とは本当に友だちだよ」


「桜樹も明日、絢に告ると思う。 相談受けてたんだよね」




相談……。

だから優は由美を、“水崎”じゃなくて由美って呼ぶようになったんだ。
でも、優は諦めるために距離を置いてたんじゃなかったの?


最近は、そうでもなかったけど……。