陽と心も身体も結ばれて
もっともっと幸せが作れるって思っていたのに

起こった出来事はその真逆だった




修学旅行の話題で持ちきりの頃。
信じられないことを聞かれてしまった。

絶対に信じたくない





「ね、絢ちゃんと陽って別れたの?」


「どうして?」


「だって陽、2組の瑠梨ちゃんと手つないでたよ?」


「瑠梨?」





手?

そんなはずない。
だって陽は……あたしと付き合ってるもん

信じない。
陽から聞くまでは。





「あ、噂をしたら……」




教室に陽が入ってくる。
いつもと変わらない
他の女の子と手をつないでいたなんて見間違えだよ。


ほっと胸をなでおろす。




「ねぇ陽って、瑠梨ちゃんと付き合ってるの?」


「は?」


「手つないでるの見たの」


「んなわけねぇし。俺は絢と付き合ってるんだけど?」





あたしに伝えてきた女の子が陽に聞いた。

あっさり否定してくれて
嬉しかった。


だけど、嬉しいはずなのに

胸騒ぎがやまない……。
どうしてなんだろう





「絢、あとで話がある。一緒に帰るから約束入れんなよ」


「う、うんっ」




立っているあたしに笑いかけた陽が言った。

話しってなんだろう?


それにしても、今日の陽の様子はいつもと違って見えた。

なんていうんだろう、みんなに見せる笑顔も、あたしに見せる笑顔も疲れ切っているよう。


いつから? 少し前?


違う……。

きっと、もっと前から陽の様子は変わっていた。


寂しそうに
悲しそうに

なにかを押し込めるかのような笑顔をしている気がした