すると陽と優があたしたちの前に立った。
あたしの手をうしろでそっと握っている。


この、冷たい手……安心する





「俺らのこと、悪く言うならいつでもどーぞ」


「モテない男の象徴だねキミら」


「優……。本当のこというなよ。かわいそうだろ」


「あ~ごめんごめん。 ついつい口が勝手に」





陽と優は、笑っている。

その笑顔は正直、怖い。


意地悪すぎる笑顔。ふたりとも、モテること自覚してるし……。





「男はいつでも優しくクールでなきゃ」


「で、絢のことまだ言い足りない?」


「言っておくけど、俺らが仲いいのは気がスゲー合うから」





なにを言いたいのか、だいたい想像できた。
由美も奈菜も笑っている。


モテる男の子ふたりを敵にまわすなんて……。





「どーする?瑞希とその親友以外の女子、俺たちの味方だけど?」


「優ってたしかフリーだもんな?」


「あぁ」


「モテない男がさらにモテなくなる。一生童貞で終わるかもな」





瑞希ちゃんたちの近くにいた女の子たちと、
モテない男の子集団。





「この辺でやめるなら、水に流してやっても」


「かまわねぇけど? どーする?」