「寒いなら言ってよね……」




少しあたたかくなった優の手をポケットから出して、あたたかいカイロをつかんだままの優の手を擦ってあたためた。





「そしたら、こうやってしてあげられたのに」


「ありがとな。……そういえば絢、スキーできねぇよな?」


「そうだけど……」


「俺と陽で絢たちのほう行くから」


「ダメ……。あたしは滑らないから」





そういったあたしを優は笑った。
そして、あたしに笑顔でいった。





「親友を助けるのは親友の役目」





そして優は3組のバスに乗っていった。





「優と仲直りできたな」


「陽」


「よかったよかった。今日は長い時間一緒にいられるな」


「うん」


「高速のサービスエリアで休憩とるみたいだから、会おう?」


「うん」





微笑んでいる陽の手を握った。

やっぱり冷たい手だった。
その手を握るのが好き……。




「絢」




そういうと陽は人前にも関わらず、あたしをギュッと抱きしめた。

規則正しい鼓動
陽の、少し甘い陽だまりのような香り





「少し、充電」


「あたしも……」




陽の行動ひとつひとつに胸が高鳴った