幸せと表裏一体にある不幸すべてが……


いい方向に向かうわけがない。

そんなこと、わかりきっていたはずなのに、いざ本当にその不幸と向き合うと……怖くて怖くてたまらない。


強くならなくちゃいけないのに……

みんな少しずつ少しずつ変わっているのに……


あたしは少しも変わらない





「なんかあった?」


「優にね……」





あたしは、優が距離を置きたいと言った日のことを話した。


優……
陽に話してなかったんだね





「優は俺に言いづらかったんだと思う。だから、俺になんも言わずに絢と距離を取ることを選んだ。絢が気にするな。優のことを考えてやれなかったのは俺だ」





申し訳なさそうに陽は言う


陽のせいじゃない……。
あたしと距離を取っても優は陽と普通に接している。

優は、陽とあたしのどちらも大切に想っているからこそ、あたしをあきらめると言って距離を置いたんだろう。





「でも……」


「俺が言える立場じゃねぇけど、優のことは本人の気持ちの問題だから、俺らがあーだこーだ言っても変わんねぇよ」




正しいのは陽。
あたしをあきらめると言ったのは優……。
距離を置きたいと言ったのも優……。

優がした判断だから優がなんとかする





「絢。今をみつめろ。ないものはないし、どうしようもないことだってたくさんある」


「陽……」


「だから、今の自分にできることを考えろ」


「うん! ありがとう」




いつだってそうだった

陽はあたしに正しい答えを示してくれる。
強くなる勇気をくれる。

“ありがとう”こんな言葉じゃ表せないくらい感謝している




「やっと笑った」


「え?」


「ずっと見てなかったから。絢の笑顔」


「……っ」




優しく笑ってみせる陽。

何度だって思うよ……。
本当に素敵な人だって―――…。

そんな素敵な人がそばにいてくれるなら


あたしは幸せだ――――…。