また、泣いてしまった……。


小さい頃から泣いてばかりのあたしを優は優しく微笑みながらなぐさめてくれる。



むかしと同じように、優しく微笑んだ優は、あたしの頭をなでた。





「泣くな……」


「優……っ」


「いつだって陽が絢を守ってくれる。俺なんかよりも近くにいる陽が……」





あたしと優の微妙な距離。


震える手をおさえていると、あたたかい優の手があたしの手を包んだ。






「本当に友だちとして接することができるようになったら、また絢たちと楽しい時間を過ごさせて? それまで絢とは距離を置きたい」






あたしは欲張り……。

陽と一緒にいたいのに、いざ自分から人が離れていくと……、必死でその人をつなぎ止めておきたくなる。






「なぁ、絢」


「な……に……っ?」


「絢と陽が出会う前に俺が告ってたら、どうした?」


「きっと……優を好きになってた……」


「そう言うと思った。ありがとな。でも……陽と出会ったら絢は必ず陽を好きになってた」





由美と優の言葉が重なった。
「お互いの持つ、なにかの魅力に惹かれてた」
そんな言葉と……。





「俺はなにをしても、陽には一生敵わない」


「そんなことない……」





今さら、なにを言っても優の心は変わらないのに。
これからしばらく、優と話せない……。





「なぁ、知ってる? 本当の愛情の意味」