少し遠かったけれど、ボーリングをしたあと、家までの道のりを優と歩いた。





「疲れた?」


「ううん。平気」


「ごめんな、歩きたいなんて言って。電車の方が絶対楽だし速いのに」


「久しぶりに散歩したって感じでたのしかった!!」





家の前で優が持ってくれていたあたしのカバンを渡してくれた。






「今日はありがとう。楽しかったよ」


「よかった……。じゃあ、今日で絢と仲よくするの最後にする」





……えっ?

不意を突いた言葉に、反応が出来なかった。






「もう、つらい。ずっと、ずっと好きだった女を傷つけないために守って、応援してさ……」





さっきみたいに目を合わせないでほしかった。
目を背けてしまいたかった。

だけど、真剣な優の瞳から目を背けるなんてできなくて。





「どんなに頑張っても、絢には陽しか見えてねぇじゃん。お前が恋愛したいのも俺じゃない……。だから……」





優は静かに言い放った。





「今日で最後」





それを告げた優の瞳には迷いも弱さもなかった。
強さを宿した、男の人の瞳だった。





「俺は白旗をあげておとなしくする。絢の友だちになるように努力する。それ以上は求めない」


「だったら……最後なんて……」


「俺もそんなに強くない。そう簡単にあきらめられるほど、絢が好きって気持ちは小さくない」


「距離を置くってこと……?」





おそるおそる聞いたあたしに、優は静かにうなずく。


あぁ……。
朝の胸騒ぎはこのことだったんだ……。