優は白のPコートの前を開け、控えめのネックレスを首につけている。
グレーのジャガードロングTシャツ、黒のズボンとセッターブーツという服装だった。
……毎回思うけど、陽も優も私服センスがいい。
かっこいいから、隣を歩くのが恥ずかしくなる……。
陽とは少し違う感じが、また新鮮。
「ごめんね……。遅くなっちゃった……」
「いいよ別に。プライベートで会うの久々だな」
「そうだね。優は最近、付き合い悪いんだもん」
「ハハッ。それもそうかー」
「そうだよ」
家を出て、目的もなくあたしたちは歩きはじめた。
どこに行くかも決めず、ゆっくりゆっくり歩く。
「最近なにしてたの?」
「ん~、部活に専念!!」
「本当に?」
「なに、俺がいなくて寂しかったとか?」
「違います~」
「つめたいなー絢は。おばさんにチクるぞ」
本当に久しぶりだった。
こんなに優と話したのも、近くにいるのも。
最近はあたしが陽とずっと一緒にいることもあってかな?
優との時間が減ったのは。
「なに食いたい?」
「え? あたし、ご飯食べたばっかり……」
「あ! あのケーキ屋さん行くか。おごるから付き合って?」
優がお願いなんてめずらしい。
しかも……本人はきっとわかってやってるだろう。
あたしは優の少し甘えた顔に弱い――…。
うなずくと、いつものポーカーフェイスを崩すように笑った。
「じゃあ、行くか!」
……このとき、なぜか少しだけ胸騒ぎがしたのを覚えている。
優のめずらしい態度にあたしは不安だった。
でもまさか……
そうなるとは思わなかった。
このイヤな予感……、胸騒ぎが的中してしまうなんて……。

