「ココ、俺んち」






陽はもう一度あたしに微笑んだあと、足を止めて言った。






「え……っ」






白い洋風の一軒家。
お姉さんと3人暮らしなんだよね?

3人暮らしにしては広い家。庭も広くてガーデニングができそう。







「でかいだろ? 驚いた?」


「うん……」


「3人暮らしにしては広い……。セキュリティも万全」


「すごい……ね……」


「絢には知っててほしかった。女連れてきたのは由美以来」






陽と由美のことは全部聞いた……。

でも、陽自身のことについては家族構成、得意なこと……それ以外、あたしは知らない気がする。


あたしの思案顔に心配した陽が、あたしの顔をのぞき込みながら頭に手を置いた。


きっと……
あたしは単純な女の子。

陽の行動たったひとつですごくドキドキして、さっきまでのモヤモヤはすぐに晴れていく。


陽はあたしの感情の変化を敏感に察してくれる。
なんでも陽はあたしより一枚上手だ。



あたしは……

陽の全てを知りたかった。


だけどそれは……贅沢だったのかな?






「……姉貴いるかもしれねぇけど、無視して……」


「ダメだよ」


「そう言うと思った」






苦笑いした陽が、玄関の鍵を開けた。