家の前に着くと、手を離さなきゃいけない……。

けど……
離したくない―――…。






「どうした?」


「……もう少し、一緒にいていい?」


「俺んち来る?」






陽の家……行ってみたい……。


あたしは、陽のことを知っているようでなにも知らない。
陽の家を知ることも、陽に近づくことだろう。

うなずいたあたしの頭を優しくなでた陽は、また、手をつないでくれた。


そして、あたしの家の最寄駅まで歩き、再び電車に乗った。

3駅ほど過ぎた駅、そこで降りる。






「絢んちから俺んち、意外と近いよな」


「うん」


「あのさ、言っとくけど、男の家にくるんだからそれなりの覚悟してる?」







覚悟……。

陽の表情からふざけている様子は見られない。
……陽。


あたしの悩んだ顔に気づいたのか、陽はニコッと優しく笑った。






「ぷっ。嘘だよ。絢のことはずっと大事にするつもりだから」


「……陽」


「あ、でもあんまり待たせんなよ?」


「……?」


「俺も男だからな」






そんなこと、わかってる……。
陽は、世界一素敵な男の人。そんな陽にあたしは恋をしたんだ。