あたし、陽、颯太くんの雰囲気を察しない人がいた。
「どこまでいってんだよ! 手はつないだ?」
「光輝くん!」
「光輝!」
「や、マジな質問」
「……キスはした……けど、手は……」
答えるのが恥ずかしかった。
あたしが答えると、隣にいた陽がムッとした。
そんな顔されても……
手はつないでないもん。
「あれ、なんか陽、不機嫌?」
光輝くんは陽の顔をのぞき込んでいる。
……これは、明らかに不機嫌な顔。
この不機嫌オーラはだれだって感じ取れる。
「別に不機嫌じゃねぇよ。絢送ってくからここでな」
「「「おう。じゃーな」」」
みんなと別れてあたしと陽はふたりになった。
あたしの少し前を歩く陽。
肩幅は広いけど、がっしりしてる感じはしないうしろ姿。
筋肉質の広い背中……。
あたしは陽のうしろ姿を見つめるのも好きだ。