「郁人さんがそんな顔、する必要ないんです。」

『芹那ちゃん…。』

「あ、…ここのお店、入っても良いですか?」

『…うん。行こう。』


優しい感じのお店に入る私達。

郁人さんは、もういつもの優しい笑顔で笑ってた。

その笑顔につられて、私も笑顔になる。


郁人さんは何も悪くない。

悪くないんだから、あんな風に哀しそうに笑わなくって良い。

そんな笑顔、私は見たくない――…


「…郁人さん、これはどうですか?」

『ん?…ちょっと待って、』


淡いオレンジ色のワンピースを手にとって、鏡の前で自分にかざしていたけど、あまり自分に似合っているのかいつものようにピンと来なくて、少し離れたところで服を見ていた郁人さんを呼んだ。


『それが良いの?』

「んー…やっぱり、分かんなくて…」


郁人さんが来て、もう一回鏡に映った自分を見るけれど、首をかしげてしまう。

私って疎いのかなぁ…流行とか、オシャレとかって…、


『んー…、そうだなぁ…。』

「ぇ……」

『こっちはどう?芹那ちゃん。』


そう思ってたら、郁人さんがすぐ後ろに立っていた。