「っ、郁人さん…?」

『泣かないで。君の涙は、儚すぎる…。』

「っ……」


優しくそっと、私の涙を拭ってくれる郁人さん。


『本当のことを言えないのは、仕方ないんだ。まだ怖いんでしょ?』

「っ……」


首を小さく縦に振れば、郁人さんが頭を撫でてくれる。

大きくて暖かくて、優しい手。

私は大好き、郁人さんの手…。


『でも困ったな…。辞められないとなると、アイツがいるところに芹那ちゃんを置くことになっちゃうし…。』

「ぁ、あのっ…」

『ん?』

「店長が…5日後に返事聞くからって言って…私、5日間だけなら、お休みもらいました…。」

『!…そっか。それなら、まだ対策を練る時間はあるね。』


郁人さんが真剣な顔つきから、いつもの優しい笑顔に戻った。

やっぱり安心するなぁ、郁人さんの笑顔。

いつの間にか私も笑顔になれるっていうか…。

郁人さんって、ときどき魔法使いなんじゃないかって思う時あるんだよね…。


優しい笑顔に、温かい手。

それに、私を応援してくれる言葉…。

少なくとも、私は郁人さんがいなかったら、今こうして笑っていられないんだから。

そう思うと、ホントに郁人さんってすごい人だなって思う。