『どうだったの?』

「っ、郁人さん……!」


いきなり話しかけられたもんだから、びっくりしてしまった。


『今までの仕事場に辞めたいっていう、電話だったんでしょ?』

「………」

『あ、その、もう支度が出来たから芹那ちゃんの部屋に行ってたまたま聞こえただけだから、その――』

「違うんです。そうじゃなくて…。」

『え?』


やっぱり、言えなかった。

店長に、本当のこと――…


「辞めたい、とは言ったんですけど…店長に拒否されて、」

『ぁ、あぁ…そうなんだ……』

「すごく、私のことを気にかけてくれて、辞めないでほしいって、辞める理由が知りたいって、言われたんですけど……本当のこと、言えなくて。」

『そっか…。』

「別に言っても良いはずなのに、怖くて…辞めたい、としか言えなくて…。そんな自分が、みじめで…っ」

『………』


あんなに店長にお世話になっておきながら、辞める理由も言えずに辞めたいと言う自分が情けなくて…

涙が零れだした時、頭に温かいものが乗っかった。