数分すると郁人さんがやってきて、2人で朝食を食べた。

智愛ちゃんは仕事で私達が食べている頃にはお家を出て行った。


「――ので、やめたいんです。」


郁人さんが荷支度を済ませている頃、私は今まで勤めていたお店にやめることを伝えていた。


『何か不満なことがあった?』

「いえっ…!そんなことは……」

『ならどうして、いきなりやめたい、なんて……』


でも、中々店長が納得してくれなくて、電話を始めて10分は経ってしまっている。

そろそろ切らないと、もう郁人さんが…。


「……お願いします。やめさせてください。」

『でもね…。天野さん、あなたはお店の中でも指名№3なのよ?その貴女がいきなりやめるとなると、後輩に示しがつかないの。分かる?』

「はい…。」


中々怒らないという店長が不機嫌そうな声で話す。


『辞める理由を聞くまで、貴女の辞表は受け取れません。』

「そんな…!」

『こちらが出来ることならば、貴女の希望は聞きます。でも、辞める理由も言わないあなたに、こちら側はすることはありません。』

「っ……!」


まさか、こうなると思ってなかった私は焦る。

どうしよう。

これでは仕事がしたくても出来なくなってしまう…。