『せりなは?あっ、タメだから呼び捨てにしちゃったんだけど…良い?』

「うん、いいよ。」

『良かった♪ね、せりなの字、教えてよ。』

「私は――…こう書くの。」


智愛ちゃんからペンを受け取って、メモ帳に名前を書く。


『なるほど。この字ね。了解!』

「ねぇ、いくとさんの漢字も教えて…?」

『…え、知らなかったの!?』

「うん、」

『兄貴はね――…こうだよ。』


郁…に、人…郁人…――


「藤咲、郁人さん…。」


なんか、名前負けしてない…郁人さんにピッタリ…。


『クスッ…芹那って、男嫌いなんだって?』

「え、…郁人さんから聞いたの?」

『うん。ちょこちょこ兄貴から芹那のことは聞いてたよ。最初は、週一にケーキを買いに来る不思議な客がいるって。でも、その客が初めて俺のケーキの変化に気付いてくれた人なんだって。』

「……///」


郁人さん、智愛ちゃんにも言ってたの?

恥ずかしい…///