カチャ――パタンっ

「ただいま……。」


家に帰って来た私。

いくとさんと別れて…複雑な思いが私を覆った。


いくとさんは優しい。

稀にみる、すごく良い人だってことくらい、私にも分かる。


だけど、それについていけない私の心。

今までの私の経験がそれに釘を刺してる。



“男なんて、信じるな”って――…。



カチッ


リビングの電気を付けて、ソファに座った私は鞄の中から電源が落ちたままの携帯を取り出した。

ボタンを長押しして、電源を起こす。


「――…っ!?な、…にこれ……。」


電源が入った携帯の画面に映し出されたのは、

新着メール14件、新着信通知29件……という、見たこともない数値だった。


「……っ、」


中身を見てみると、送信元、着信元全てが……―――木下 和久。