―――『…じゃぁ、今日も安静にして寝てくださいね。』


夕方。

看護師さんの回診が終わる。


「はい、分かりました。」

『では、失礼します。何かありましたら、ナースコールしてください。』

「はい。」


看護師さんが部屋から出て行くと、また退屈な時間がやってきた。

あー、早く郁人さんたちがいる家に帰りたいなぁ、なんて、窓の外を見ながら思っていると、


ガラッ

『芹那ちゃん、こんばんは。』

「――郁人さん!こんばんは。」


ずっと待っていた郁人さんが病室に来てくれた。


『どう?病院生活は。』

「退屈ですよー、まだ1日しか経ってないのに。もう退院したいなって思っちゃってます。」

『はは、そう言うだろうなって思って…はい、これ。』


そう言って渡されたのは、綺麗な海のバックで夕日が沈んでいく写真がプリントされた箱のパッケージだった。


「これは…?」

『ジグゾーパズルだよ。暇なとき、してみてよ。これ、結構難しいらしいから、暇つぶしにはピッタリだと思うんだ。』

「ありがとうございます!完成したら、郁人さんの部屋に飾ってくださいね。」

『うん、じゃぁ楽しみにしとくね。』


2人で笑いあう。

この瞬間が、たまらなく幸せに思えた。