『ま、でも、本当に良かった。』

「うん、智愛ちゃんには本当にお世話になりました。ありがとう。感謝してる。」

『芹那…っ』


私を匿ってくれたことも、

私の新しい仕事場を探してくれたことも、

私に護衛をつけてくれたことも、

私を、窮地から救ってくれたことも、全部、

智愛ちゃんには足りないくらいの感謝があふれてる。


『そ、そんなこと言っても…っ、私、芹那をっ、ま、守れなかったしぃ…っ』

「わっ、泣かないで、智愛ちゃん!違うよ。智愛ちゃんはちゃんと守ってくれた。怖かったはずなのに、ちゃんとあの人から身を盾にして守ろうとしてくれた。それでいいの。私は感謝してる。智愛ちゃんに頼んでよかったって、そう思ってるよ?」

『っっ――芹那~っ!!』


泣きながら、智愛ちゃんは私に抱き付いた。

いくら宥めても泣き止まない智愛ちゃんの背中をひたすらさすり続ける。


「こんなところも兄妹なんだね。」

『え…っ?』

「ううん、なんでもないっ」


いつもこの上なく優しくて、どこにも非なんてないのに、変なところで責任感じて、自分責めて…。

そんな優しすぎる兄妹に出会えて、私は本当に幸せだと思った。