──「郁人さん、」


日も暮れる頃──


『ん?』

「あの…」


あれからずっと、私のそばにいてくれた郁人さん。

もうすぐ面会時間も終了となる。


「明日も…来てくれますか?」


不安になる。

この幸せが、なくなってしまったら。

郁人さんを失ってしまったら…って。


だから、毎日郁人さんに会いたいと思うし、

そばにいてほしいとも、思う。


──こんな気持ち、初めて…


『当たり前。明日も明後日も、毎日来るよ、俺は。芹那ちゃんがもういいよって言うくらいね。』

「郁人さんったら…。」


でも、そんな不安をいつも取り除いてくれるのは、いつも郁人さんなんだ。

私のことは全てお見通しってくらいに、私がいってほしいことを言ってくれる。


『明日は、芹那ちゃんが大好きな苺タルトも持ってくるね。』

「本当に…?」

『ぁあ。だから…大人しく待ってるんだよ?お姫様。』


お姫様なんて…

郁人さんったら、もう…///


「…はい、待ってます。」


郁人さんに悪態をつきながらも、結局は顔を赤くさせて頷くのだった。