「西城くん見つからなかったの?」


 一人で戻った私を心配そうに見る洋子ちゃん。
 私は安心させたくて、笑顔で

「大丈夫。居場所分かるから」

 と、そのまま鞄を持って教室を後にした。







 廊下を一人歩きながら、窓をふと見ると。

 外は真っ白な雪景色。



 そう…。

 彼と付き合って、すでに一年と少し。気付けば受験生になっていた私達。



 3年生になって、西城くんとはクラスが離れてしまって。
 私は洋子ちゃん、田村くんと同じA組。斉藤くんと亜衣ちゃん、真弓はC組。
 そして、西城くんは皇と同じ特別クラスのS組になった。



 クラスが離れすぎて階も違う。偶然会う、なんて事が全然なくて少し寂しい。



「遅いって怒られそう……」


 彼の待ってるであろう場所まで、急ぎ足で向かう。