「……ああ」 斉藤くんの声が、なぜか低い。 「ラスト30分面白かったよな! な?彼方」 小沢くんが後ろの西城くんに話しかけるけど……彼は無言で、私と斉藤くんを睨みつけてる。 「――行くぞ」 その瞳を逸らし、先に歩いて行ってしまった。 「じゃあな!」 小沢くんが何事もなかったように、私達の前を通り過ぎる……と、思ったら。 突然立ち止まり、 「如月……彼方のこと、もういいのか?」 私に聞いてきた。 ――もう、いい? そんな事…… あるわけない。 .