君想ふ聖夜



いつもオセロをしてくれる相手だけとは思っていなかった。

それは、昔も今も変わらず。


「聖。」


微妙に体が動いて、吐息が零れる。

元々体力の無い聖の体は睡眠状態に入ろうとしていた。

ぼやけた視界に静綺を捉えた。


「嘘でも良いから、俺のこと好きだって言ってくんねぇ?」


嘘で良いのかよ。
そう思った。

聖は、じっと静綺を見据える。


「言わない。」


口を開く。


「…だよな。」


力無く笑う。