心と体は裏腹で、静綺は自分のネクタイをスッと取りながら、聖の前ボタンを開ける。 それに気付いた聖。 「静綺、」 「あ?」 「何考えて、はるの?」 聖の心の中身は、これまでとない不安と恐怖で覆われている。 いつも屋敷で一緒に生活している静綺が、どうして自分相手に盛るのか、好きだと言うのかが理解出来ない。 「聖のことだけ考えてる。」 酷く愛おしそうに言った静綺。 前ボタンを全て開けられて、聖はどうすれば良いか分からなかった。