桜嘉を簡単に吹っ飛ばせた力でも、静綺には叶わない。 思わず出た京都弁に、今は関係無い聖の母親のことを思い出す。 「冗談じゃねぇよ。好きな女とベッドが目の前にあんだから、する事はひとつだろ?」 しれっとした顔で、サラリと言う静綺。 今、好きな女って言ったか? 自問自答するより先に、もう一度唇が重なって歯列をなぞられる感触に背中がゾクリとした。 あまり抵抗しない聖の態度に、合意と受け取って良いのか迷う静綺がいた。