君想ふ聖夜



しつこい程角度を変えられた口付けを終える頃、聖は自身では立てなくなっていた。


「お前…。」

「いや、あまりに素直だったから。」


睨みつける聖の視線を無表情で返す。

昔からそういう奴だ。

理由になっていない理由をつきつけられ、ぐらりと聖の視界が揺れて静綺越しに天井が見えた。

ベッドに組み敷かれたのだと気付く。

静綺は相変わらず冷静に何を考えているのか分からない表情で、聖を見下ろした。


「…冗談にしては、やり過ぎと違う?」