君とみた桜

「チッ…。」

舌打ちを打った客は店を飛び出た。
食い逃げ!

「待ってください!お客様!」
たびを履いていながら、走ると指と指の間がすれて痛い。
ソレでも…ウチの稼ぎは良くない。だからこそ、逃がすわけにはいかない…。

江戸の街を走るたび…チラッと町人は私を見ていた。
誰か…助けてくれてもっ…。

ズッ…。

「キャッ…」

小石につまずき、滑り転んだ。

嘘…食い逃げさえ、止められないの?