ピンクの空


『でも、今日の夏美のピアノは、歌ってなかった。ピアノが、ただ淡々と音を出してるだけだった。なんでだかわかる?』




みんな何も言わない。




だってあたし自身もそんなのわからなかったから。





『それはね、信じさせなかったから。』




え?みたいな顔をして、みんな顔を上げた。




『みんなが、夏美を安心してピアノ演奏させてあげなかったから。みんな、ちゃんと歌ってくれるかな?大丈夫かな?って思いながら弾いてたから、ピアノにキモチが入らなかったんだよ。』







あたしの目から、生温かい涙が溢れた。