通り道

次の日、朝早く起きて大きな鞄と、少しのお金を持ってバス停に向かった。

病院までは、一時間ぐらいは掛かる。

バスの中で、母さんに何が出来るか考えていた。

ご飯を食べらす、部屋の掃除をする。洗濯をする。

あまり思い付かない。
だか、何もしないより良いだろうと、考えていた。

病院に着き、前、婆ちゃんと来た時を思い出して、部屋を探した。
あれ?確かここのはずなんだけどな?

表札に母さんの名前が無い。

すいません。神田佐緒里は、何処の部屋ですか?

廊下を歩いていた看護婦さんに聞いてみた。
神田佐緒里さんなら、突き当たりの部屋ですよ。

ありがとうございました。

軽く頭を下げ、言われた方に向かって歩いて行った。
神田佐緒里、神田佐緒里・・。

あっ!あった。

その部屋は、ナーススティションの目の前だ。

コンコン。

ノックをした。

はい。

ガチャ。

おう!元気?母さん。
ひでちゃん!

ビックリしたのか、母さんの目は大きく開いていた。

そんなにビックリすんなよ。

だって。
どうやって来たの? 婆ちゃんも一緒?

いいや。
一人で来た。
バス乗って。
俺、今日から暇だから暇潰しに来たんだ。