通り道

ピンポーン。

…はい。ガチャ。

こんにちは。

あっ。こんにちは。遠い所から、疲れたでしょ。
さっ、上がって。

失礼します。

お邪魔します。

霊媒師の人は、俺が思っていた人と違った。普通の、おばさんだった。

爺ちゃんは、車で寝とくらしい。

廊下を通って一番奥の部屋に案内された。

少しお待ちになって下さい。
今、お茶でも持ってきますから。

気を使わなくていいですよ。

お茶ぐらい飲んで下さい。
それぐらいしか出来ないから。

じゃあ、頂きます。

しばらくして霊媒師のおばちゃんが、
お茶と、少しのお菓子を持ってきた。

すいません。頂きます。

で、詳しく話してもらえますか?

婆ちゃんが今まであった事を話した。

そちらが秀利君?

はい。秀利です。

お婆ちゃんの家では何もなかった?

はい。何もありませんでした。

秀利君あなた霊感が強いわね。
私にはわかるわ。

俺が霊感が強い?

そぅ。何となく感じるの。

へぇ。

じゃ、秀利君、ここに座って。

はい。

俺はテーブルの横の少し大きめな座布団に座らされた。

俺の前に霊媒師の人が座った。

霊媒師の人が目を閉じ、なにやら言い出した。
お経の様な言葉だ

霊媒師は、次第に体を円を書く様に揺らし出した。
ピタッ

と、霊媒師の動きが止まった。

お前じゃない。お前出て行け。
出て行け。

霊媒師の声がさっきまでと違う。

俺は驚き体を後に反らした。

霊媒師は、

はぁ~。

と、息を吐いた。

秀利君。
あなたあの家に嫌われてるわね。

霊媒師の声が戻っている。

なぜ?

私は、その家に行ってないから詳しくはわからないけど、
もしかしたら、その家、幽霊の、
通り道じゃないかな。
婆ちゃんは、驚いた顔で聞いた。

幽霊の通り道?