「アイツまだ見つかってないんだよ。

友達の話だと一旦高台まで上った後、やっぱり見捨てられないとか言って、も…戻っちまったらしい。

馬鹿だよ。馬鹿だよアイツ」


「嘘…」

それからの日々は彼を懸命に探したことしか覚えていない。

ヘドロの臭いがする瓦礫の下で彼の名前を呼ぶ。

一日に10キロ歩く時もあった。
全ての避難所の掲示板で彼の名前を追った。