気付けば桂さんは全部食べきってしまっている。

は、早い。


「女装しているのだからいいじゃないか。女と言ったって所詮見てくれだろう？誰が作ったのかわからない料理ならば尚更だ、私が作った物でも彼女が作ったのだと言えば問題は……」


「大有りだ！」


つらつらと意見を述べる桂さんの言葉を遮って、高杉さんは声を張り上げた。

桂さんはまるで意味がわからない、と言うように眉を寄せているし、石川さんは笑いを堪えている。

そんな状態の中、伊藤さんだけはまたかよ、と言うように肩をすくめた。

あれ、慣れた状況なのかな。

なんて思いつつ、伊藤さんを見ていればパチリと目があった。


「このやり取り、きっと長く続くだろう。もし、朔君。君が食べ終えていて、このあと時間があると言うならば庭を散歩でもしないか」


「え、でも――……」


私の事なのに高杉さんを置き去りにして良いものかと、一瞬言葉を濁す。

そんな私の心境を察してか、伊藤さんはクスリと笑った。


「言ったろう、このやり取りは長くなる。巻き込まれぬうちに撤退あるのみ――……なぁに、おさまれば高杉君が君に知らせにくるさ、だろう？」