それは高杉さんも同じだったようで、ゲホゲホと咳き込んでいる。


「なっ……お前、ばっ………!」


咳き込みながら言ったのでは、何が言いたいのかまったくもってわからない。

しかもその傍らで私が咳き込んでいるのでは特に、だ。


「なんだい、二人とも。何が言いたいのかわからないじゃないか、て言うか同時に咳き込むなんて二人は気が合うんだねぇ」


尚もさらりと言って退ける桂さんが、確信犯に見えてきた。

そんな時、パクパクとご飯を口に運びながら様子を見守っていた石川さんが口を開く。


「桂さん桂さん。高杉さんは今、『なんだとお前、馬鹿を言うんじゃない!』って言いたかったんだと思うよ。ね、高杉さん?」


コクコクと頷く高杉さん。

ナイス石川さん、救世主!


「なんだい、晋作。僕は馬鹿じゃない。それは君も知っているだろう、同じ塾だったじゃあないか?」


「げほ、……んん!ちげぇ、そういう問題じゃあねぇんだよ、まったくもって。俺は女の手作り料理が良い、っつったろうが。お前男じゃねぇのか、ん?男の手料理なんか食ったって萎えるだけだろうが」


「おや、失礼な事を言うなぁ、晋作は」そう言って、桂さんはズズ…とお茶を啜った。