――……翌朝、この日は12月15日である。

確かに、私の頭の中ではこの日が功山寺挙兵だとあった。

やっぱりいろいろな不安は尽きぬまま、眠れぬ夜を過ごした私はそのまま朝を迎える。

あぁ、こんな気持ちで高杉さんについていって良いのかな。


「なぁ、朔」


そんな事をぐるぐると考えてしまう、静かな朝食。

つい手を止めていれば、ふいに高杉さんが声を掛けてきた。


「夜までに一つ頼み事があるんだがいいか?」


「へ、頼み事、ですか?私で出来る事であれば勿論……」


とても不意打ち願い出だったから、少し変な声がでた。

瞬きもパチパチと世話しなくなってしまっているのがわかる。


「結構大変だとは思うんだが、な……今、ここにはお前しか出来る奴はいない」


そしてチラリと桂さんを見る高杉さん。

なんとなく、言うことがわかった気がした。


「………なんで僕を見るのかな、晋作」


「ごほん」


あ、ごまかした。


「挙兵前に、隊士達にやる気を出させてやりてぇんだ。っとなりゃあ、やっぱ女の手作り料理だろ?握り飯を、人数分頼めねぇか」


あぁ、そんなことなら!と、承諾しようとしたのだけれども。


「じゃあ僕も作ろうか、握り飯」


桂さんが、しれっと爆弾発言をするものだから、私はお味噌汁を喉に詰まらせた。